人手不足が深刻な宅配企業、次の一手は?
2000年前後から急速に普及したネット通販により宅配便の物量は急増。国土交通省の調べによると、1998年に18億3300万個だった宅配便取り扱い個数が、2013年には36億3700万個とほぼ倍になった。それと同時に多様化する顧客ニーズに対応すべく、配達時間の指定やコンビニエンスストアでの受け取りなど宅配各社ともきめ細やかなサービスを拡充していった。
「かつては荷物を届けるだけの役割と見られていたのが、B2BからB2Cへと事業領域を広げる中で、今や顧客のタッチポイントとして付加価値サービスを提供する存在となった」と、物流業界に詳しいアビームコンサルティング 執行役員 プリンシパルの赤石朗氏は説明する。
宅配便の物量増は売り上げにも影響する。ヤマト運輸を中核とするヤマトホールディングスのデリバリー事業は4年連続で営業収益が右肩上がり。2015年3月通期の業績予想では対前年比0.4%増の1兆1040億円を見込む。また、営業利益は同16%増の415億円、宅急便取り扱い数量は16億3200万個、宅急便単価は595円を予想している。
佐川急便の持株会社であるSGホールディングスは、ここ数年デリバリー事業の売上高を下げているものの、2015年3月期通期のグループ全体の業績を売上高8500億円(対前年比1.8%増)、営業利益440億円(同1.4%増)、当期純利益230億円(同38.1%増)と予想、巻き返しを図りたい考えだ。荷物の取り扱い個数はアマゾンとの契約解消などの影響で、2014年3月期実績では飛脚宅配便が12億1878万個(同10.2%減)だったが、単価は486円に上昇している。
確かに現状では業績を伸ばしている。しかし、今後の飛躍的な事業成長を考えた場合、これまでのように取り扱う物量をただ増やすというやり方では、人手不足という問題はますます大きくのしかかってくる。
これに対して当然、各社とも手を打とうとしている。荷主である顧客に対して適正料金収受を目指した運賃・料金値上げを推進するほか、効率的な集配システムの構築、主婦や外国人スタッフの登用などさまざまな施策を検討しているという。
一方で、国内消費市場が今後いっそう縮小する中、収益拡大に向けて海外市場の開拓もよりスピード感を持って取り組まなくてはならないだろう。2015年2月18日に業界3番手の日本郵便がオーストラリアの物流大手であるToll Holdingsを約6200億円で買収すると発表したのは格好の例だ。既に日本郵便は2014年10月に仏GeoPostおよび香港のLenton Groupと資本・業務提携を締結し、国際宅配便サービスを開始しており、今後はアジア市場への展開を中心にグローバルレベルでの総合物流企業としての地位獲得を鮮明に示している。
「従来、日本の物流会社は、商社やメーカーの後を追って海外に進出していた。これからは物流会社が先陣を切って新たな市場に打って出て、ビジネスインフラを作り上げるような戦略が重要かもしれない」(赤石氏)
人手不足という問題を抱えながらも、ビジネス成長の新たな果実を求めて立ち止まることは許されない。宅配大手の“三つ巴”による争いが今後ますます激しさを増すだろう。
ITmedia ビジネスオンラインの特集「進化する物流ビジネス最前線」では、宅配会社をはじめとする物流専業、さらには自前で物流の改革・改善に取り組むネット通販事業者などの取り組みを追う。次回はその中心的なプレイヤーであるヤマト運輸に迫る。
资料来源:ITmedia网站
转载时间:2015年04月09日
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责任编辑:北京秦藤